今回からEAの検討についてご紹介していきます。こちらのテーマでは実際に私が使うEAの開発を、少し切り取って話をしていこうと思います。
まず、私はEAの検討を始めてひと月くらいたちまして、ようやくプログラムのところは何となくかけるようになってきました。
そこで以前から考えていたロジックでEAを作成し、8/1から動かしています。
この結果については別でご紹介させていただくとして、今回は次のEAの開発に向けた検討もかねて、移動平均線を用いたEAの最適化をやってみます。
今回の検討ターゲット
![](https://buildup-to.com/wp-content/uploads/2023/08/Icon_B101_eyecatch-1024x576.png)
今回は移動平均線クロスを基本ロジックとしたEAの検討をやってみます。
ターゲットは、以下でやってみます。このくらいであれば簡単に出来ると思います。
・15分足で稼働。
・プロフィットファクターが1.3以上。
・相対ドローダウンが1.0%以下。
評価はMT4のストラテジーテスタによるバックテストとします。
![](https://buildup-to.com/wp-content/uploads/2023/08/5a16d6ecfb6a891790295892871bbbc7-1024x171.png)
条件の最適化
では実際にやっていきます。
今回は最適化とうたっていますが、長短移動平均線のクロスをトレードロジックとした基本的なEAを作っていきます。
今回の変数は
・TP(テイクプロフィット)およびSL(ストップロス):利確/損切幅の設定
・短期/長期平均線の本数検討
・SL(ストップロス)設定の最適化
この内容で進めていきます。
TP(テイクプロフィット)およびSL(ストップロス):利確/損切幅の設定
基本条件を、以下に設定しました。特に数字に意味はないですが、経験上よさそうな数値を使っています。バックテストの結果も載せておきます。PFが1.06、相対DDも1.92%となっていました。
短期線 | 長期線 | TP | SL | 総取引数 | PF | 相対DD |
24 | 120 | – | – | 731 | 1.06 | 1.92% |
![](https://buildup-to.com/wp-content/uploads/2023/08/2eb13f7c90012ecdf79c08fc5ac9f4f6-1024x363.png)
次に、TPとSLを設定してみます。相対DDはずいぶん改善しましたが、PFの改善はありませんでした。移動平均線のクロスを基本ロジックとしていますので、勝率は低く、数少ない勝ちの時に利益を大きく広げるイメージのロジックになっています。そのため、TPの設定が邪魔をしたものと推測します。
短期線 | 長期線 | TP | SL | 総取引数 | PF | 相対DD |
24 | 120 | 40 | 20 | 731 | 1.06 | 0.51% |
![](https://buildup-to.com/wp-content/uploads/2023/08/f704b82f51735527bc7050f2db8aeac1-1024x350.png)
この結果を受けてSLはそのままにしてTPの設定をなくしました。結果的にはPFが改善し、DDの悪化も影響ないレベルと判断します。この段階ですでにターゲットを達成してしまいました。
短期線 | 長期線 | TP | SL | 総取引数 | PF | 相対DD |
24 | 120 | – | 20 | 731 | 1.32 | 0.80% |
![](https://buildup-to.com/wp-content/uploads/2023/08/5137bd8eb91a986b7f55244dffa8cdcc-1024x338.png)
短期/長期平均線の本数検討
前項までにターゲットを達成してしまったので、ここからはより良い条件を探っていきます。
まず短期/長期ともに初期設定よりも短い場合。PFが0.99と損失を出し続ける数値になってしまいました。これでは使えません。
なお、短期/長期ともに短くなったためクロス回数が増えて総取引回数も激増しました。
短期線 | 長期線 | TP | SL | 総取引数 | PF | 相対DD |
12 | 24 | – | 20 | 3065 | 0.99 | 1.37% |
![](https://buildup-to.com/wp-content/uploads/2023/08/0084346fbce807a4533650db0f689a85-1024x341.png)
次に、短期/長期ともに長くした場合。この場合はPFが1.55とかなり改善しましたが、総取引数が基本条件の1/3程度になってしまったため、こちらも使えないと判断しました。
短期/長期ともに伸ばすことでノイズデータが減るので、無駄なエントリーが減り結果的に利益率が高くなったものと思います。
短期線 | 長期線 | TP | SL | 総取引数 | PF | 相対DD |
72 | 240 | – | 20 | 284 | 1.55 | 0.70% |
![](https://buildup-to.com/wp-content/uploads/2023/08/4278688995a2d334d278eb805948e223-1024x354.png)
これらの結果から、最初に決めた基本条件が最もよさそうということがわかりました。
SL(ストップロス)設定の最適化
最後に、基本条件の短期24本/長期120本の移動平均線クロスのロジックに対して、SLの設定幅を検討しています。
条件は、5ips/10pips/20pips/30pipsの4条件です。
ここは一気に見てみます。10pipsまたは20pipsがPF、DDともによさそうな結果となっています。
短期線 | 長期線 | TP | SL | 総取引数 | PF | 相対DD |
24 | 120 | – | 5 | 731 | 1.06 | 1.92% |
24 | 120 | – | 10 | 731 | 1.3 | 0.74% |
24 | 120 | – | 20 | 731 | 1.32 | 0.80% |
24 | 120 | – | 30 | 731 | 1.27 | 0.86% |
SL:5pipsの場合
![](https://buildup-to.com/wp-content/uploads/2023/08/c34759411357c63846805d4174295c20-1024x344.png)
SL:10pipsの場合
![](https://buildup-to.com/wp-content/uploads/2023/08/a67f30d7e0c5d9f2cd7e740644d873e7-1024x343.png)
SL:30pipsの場合
![](https://buildup-to.com/wp-content/uploads/2023/08/3f4f1cfa76b8bf082c4ead2b310efb2b-1024x342.png)
最終結果として、基本条件にしたものが最も使いやすい設定値となりました。少し肩透かしですね。一応ターゲットは達成できたのでそこはよかったです。
まとめ
今回は移動平均線クロスを基本ロジックとしたEAの検討をしてみました。結果としてPF1.3以上かつDD1.0%未満のものができたので、実際にデモ口座を使ってのフォワードテストをやってみてもよいかと考えています。
しかし、実は今回のロジックは今稼働中のもの(のほうがより細かい設定がされているのですが)とよく似たものとなっており、このまま適用してもメリットが少ないです。共通して、トレンド相場が得意で、レンジ相場が苦手。という特徴があります。
これは移動平均線を使ったロジックの特徴ですので、別のロジックを使ったEAを開発すると補完関係を気づけて良い感じです。
そこで次回はレンジ相場に強いEAの検討をテーマに考えてみたいと思います。
最後までお目通しいただきありがとうございました。